2015年11月4日

年収が低くても資産は多い個人型確定拠出年金加入者



フィデリティ退職・投資教育研究所が定期的に実施しているサラリーマン1万人アンケートの新しい分析レポートが出ていました。今回は確定拠出年金(DC)加入者の実態に焦点を当てたレポートです。

DC加入者は投資を通して退職準備を進めている - サラリーマン1 万人アンケート、DC 加入者の実態分析(フィデリティ退職・投資教育研究所)

タイトルにあるように、やはりDC加入者は、非加入者と比べて退職準備のための資産形成が進んでいるという結果が出ています。ただ、それ以上に今回のレポートで面白かったのは、個人型確定拠出年金加入者の特徴が初めて分析されたことです。そこで明らかになったのは、個人型DC加入者は、年収が低くても資産は多いということ。DCは制度的に「天引き」と「長期運用」を強制する仕組みですが、これがとくに低所得者ほど有効に働いていると見ることができます。私も低所得者なので、ちょっとだけ心強い結果になりました。

今回の分析では、DCに対する認知度が確実に上昇していることが分かります。また、退職準備としての資産形成もDC加入者の方が非加入者よりも大きくなっていることが分かります。また、DC加入者の平均年収は非加入者よりも高い。これは大企業を中心に企業型DCの導入が進んだからです。

ところが、今回から分析対象となった個人型DC加入者を見ると、非常に面白い結果が出ました。個人型DC加入者の平均年収は企業型DC加入者よりも低いのですが、平均保有資産は、ほぼ同水準となっているとして次のようにまとめています。
個人型DC加入者数は831人で、DCに加入していると回答した人の21.8%に上る。その特徴は、企業型DC加入者に比べて、年収は低い(601.0万円対555.3万円)ものの、平均保有資産はほぼ同じ水準(1276.9万円対1339.2万円)で退職後の生活のために準備している資金は18%ほど多い(974.5万円対1149.2万円)。すなわち、個人型DC加入者は、「少ない収入のなかから退職後の準備資金をしっかり用意している」ことが窺える。
なぜこうなるのかというと、個人型DC加入者は、たとえ年収が低くても金融・投資リテラシーが圧倒的に高いからです。企業型DC加入者の中にはDCを投資とは考えずに、漫然と元本保証型商品を積み立てている人も少なくないのですが、個人型DC加入者は純然たる投資と考えて積極的な国際分散投資を行っている人が多い。それはアンケート分析にもはっきりと出ています。
個人型DC加入者が退職準備額を相対的に大きく積み増している背景には投資を実施していることが挙げられよう。個人型DC加入者では、投資をしている人の比率(43.4%)、NISA口座開設率(33.9%)、投資へのポジティブイメージ(39.0%)、退職資産形成実施策として資産運用と計画的な貯蓄を挙げている人の比率(40.2%)などで、企業型DC加入者のそれをそれぞれ上回っており、より投資に積極的な姿勢が窺われる。
投資の特徴を投資対象から探ってみると、個人型DC加入者は日本株の比率が低めで、後はほとんどの対象商品で企業型よりも高めに出ている。これは個人型DC加入者がより分散投資を実施していることが影響しているものと思われる。なお、変額年金の比率が高くなっている点も指摘できるだろう。
これを読んで、私は非常に心強いと思いました。私も低年収の個人型DC加入者の部類に入るわけですが、なにも上から目線で金融・投資リテラシーの高さを自慢しているのではありません。私のような貧乏人は、懸命なのです。

現代社会は厳しい。貧乏人は、なにもしなければますます貧乏になっていく仕組みが強化されています。そんな世知辛い世の中に対して、たんにブー垂れてるだけでは、いっこうにお金の問題は解決しません。だから、少しでも有利で効果的な資産形成の方法を模索しなければなりません。そうやって見つけたのが個人型DCなのです。実際にアンケート分析でも低所得層ほどDC加入の効果は大きいとして、次のように指摘しています。
年収700万円世帯まででみると、DC加入者の退職準備額が非加入者のそれに比べて総じて高くなっていることがわかる。逆に年収700万円以上になると、必ずしもDC加入者の方が高いというわけでない。このことからはDCの加入の効果は低所得層ほどはっきりと出ていることがわかる。退職後の生活のための準備を早くから進めるためには、企業型であろうと、個人型であろうとDCへの加入が大きな効果を持っているようだ。
私のような低所得者は、なんとか厳しい時代を生き残ろうと必死の努力を続けています。その結果が、今回のアンケート分析に見る個人型DC加入者動向から感じました。低年収でも個人型DCに入っている人は、きっと同じような思いを持っているのでは。そう考えると、仲間がいるようで非常に心強いのです。

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